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「今回は来ないと思ってたで」
陽一の悪態に彼、は優雅に芝居がかったように現れた。
「今日までドラマの収録と聞いてましたけど?」
ケイがいつもよりも眼光を強めて彼を見ていた。
「あぁ、色々あったんよ。こっちんことも気になってたから帰ってきたんだ」
そう、俳優であり事務所長の真壁梨杏は2人の視線など気にせずにゆっくりと近づいてきた。
「調子の良いときに出てきても、信頼度さがるだけやで」
辛らつな言葉を聞き、梨杏は仰々しくショックを受けたような仕草をしていた。
そこに誠実という言葉は見えてこない。
「アクターなら、もうちょい真実味のあることしぃや」
ジト眼になりながらケイが突っ込みを入れると、梨杏もやれやれと臭い演技をやめた。
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