八頼 北より来し者と石壁

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 彼はゆっくりと狼男に近づき、そして触れた。 「ふむ、まだ生きてるね。そっちは駄目っぽいけど」  ケイに焼かれた狼男はすでに事切れていた。  それも仕方がないだろう。彼女が吐き出した紫炎は毒の炎だ。焼けた傷から、猛毒が入り込むにもかかわらず、陽一がさらに炎上させたために肺の中も焼けただれてしまったようだ。 「こっちは鬼夜叉組に言って(ほか)してもらって、こっちはとりあえず封じとこか」  言うがはやし、白めを向いている白い狼男の身体が沈んだ。  沈んだ先……それは真壁梨杏(まかべ りあん)の身体の中だった。  触れた箇所から、まるで流砂にあったかのようにズブズブと引き込まれて沈んでいく。 「何度見てもエグいよなぁ」 「ん?」 「その妖怪【ぬりかべ】として特性さ」
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