39人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、アクロ、たすけテ」
「助けてですと? おかしいですね。貴女には手練れの護衛が二人もいたはずだ」
「たぶン、しんだ」
フルドラの言葉に、アクロと呼ばれた人物は大層不快そうにため息を漏らす。
「約束と違いますね。それではあの方の悲願は達成されない。なんですか、その体は……まるで妖力が足りていない」
「……」
事実を言われ、フルドラは言葉もなかった。
理由はどうあれ、今の状態では約束は果たすだけの力は無い。
「貴女を追っているのは誰です?」
彼の言葉に彼女は首を振った。
異国から来た彼女にこの国の情勢など分かるはずもない。
予想していたのか、アクロはただつまらなそうに見返すだけだった。
最初のコメントを投稿しよう!