八頼 北より来し者と石壁

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「あ、アクロ、たすけテ」 「助けてですと? おかしいですね。貴女には手練れの護衛が二人もいたはずだ」 「たぶン、しんだ」  フルドラの言葉に、アクロと呼ばれた人物は大層不快そうにため息を漏らす。 「約束と違いますね。それではあの方の悲願は達成されない。なんですか、その体は……まるで妖力が足りていない」 「……」  事実を言われ、フルドラは言葉もなかった。  理由はどうあれ、今の状態では約束は果たすだけの力は無い。 「貴女を追っているのは誰です?」  彼の言葉に彼女は首を振った。  異国から来た彼女にこの国の情勢など分かるはずもない。  予想していたのか、アクロはただつまらなそうに見返すだけだった。
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