壱頼 ルーチン

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「いろいろと調べはついとんねん。あんま足掻かんといてほしいわ」  そうしている間に、男を追っていた影もまたその背後に追いついていた。  暗がりから電灯の下に出てきたその姿は肩で息をする若い女だった。  特徴的な茶色いシャギーに赤いメッシュが所々に入っている。さらには赤い革ジャンにホットパンツと目立つことこの上ない格好だ。  その姿をみて男はさらにたじろぐが、女と見て正面よりかは、彼女へと体を向かせる。  前後から挟まれ逃げ道はない。  活路を見いだすならば、男よりかは女と思ったのだろうか。  いや、それよりかは性質なのかもしれない。  コレはそういう者だからだ。 「てめぇ、【かくえん】やな? いや、別名【馬化】《ばか》つったか? まったくヤることしか頭にねぇんやってな」
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