九頼 鬼は酒を所望する

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 巨大な妖気を一瞬だけ感じた。  かなりの大物が……いや黒幕がおいでのようだった。  思わず陽一の口からため息が漏れる。 「梨杏」 「なんです?」 「今回の依頼主は誰や。あと、何が裏にいんねん」  ストレートな言葉に一瞬、梨杏の言葉をつぐんだ。  後ろにいるケイは押し黙りながら、二人の様子をじっくりと観察していた。  目の前は清水寺の山門。  それを目にしながら、梨杏は足を止めた。 「陽一、こん業界にも慣れてきたと思ったんやけど、それ聞くん?」 「なぁんやきな臭くてな。晴羅が電話よこしてきたってのが、一番気に食わん」
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