九頼 鬼は酒を所望する

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 その言葉に、梨杏が目を見開いた。 「そうくるんけ」  仰々しく彼はため息をつく。  梨杏は清水寺を一瞥してから、ゆっくりと空を仰いだ。 「今回の依頼主は二人や。一人は鬼夜叉組現組長、鬼童丸――」  ここまでは陽一も予想していた。  そしてもう一人は…… 「もう一人は、君の大嫌いな晴羅や」 「……」 「まぁあとは詰めるだけやし、帰るならかまへんよ」  嘆息しながらも、梨杏は陽一に言った。と同時に、ケイには目でお前は別とにらんでいた。 「いや、ここまで来たんやし。やるよ」
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