九頼 鬼は酒を所望する

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 ただそれだけ……  それ以外に興味など……  ゆっくりと進む中、ふと視線を舞台の下へと向けると人影が見えた。 「さそっとるみたいだね」  軽い梨杏の言葉が後ろから聞こえた。  陽一は舌打ちをしてから、一気に舞台を飛び降りた。 「ちょ!」  後ろで泡食った梨杏の声が聞こえたが、そんなことなど今の彼はお構いなしだった。  堪忍袋の緒はとうに切れている。  もう我慢するのはやめ……
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