九頼 鬼は酒を所望する

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「へぇ、まだ出んのかい」  陽一とケイはそれを見上げた。  そこには体長3メートルはあるかという巨人がフルドラを片手に握りながら悠然と立っていた。 「スタロ!」  フルドラの声が闇に響いた。  巨人は残る腕をなぎ払うように、振るった。  すんでのところで二人は飛びのくが、石垣の脇にあった売店が巻き込まれ屋根が吹き飛んでいった。 「でくの坊が」  彼はもう一度、煙管をかざし特大の火炎を見舞う。  頭に血が上ったための一撃。  何も考えていない短絡的な行動は時として危険を伴う。  今がそのときだった。  巨人が息を吸い込んだと思ったら大砲かと思うほどの水が発射された。
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