九頼 鬼は酒を所望する

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 さらに一歩前へ出ようとする彼をケイは押しとどめる。  普段は彼女のほうが頭に血が上りやすいのだが、こういうときは努めて冷静だった。  だからこそ、不安定な部分がある彼をサポート出来るという側面もあるのだが…… 「なるほど、北欧の巨人スタロやね」  場違いなほど明るい声が二人の後ろから聞こえてきた。  ようやく梨杏がやってきたらしい。  その足取りは非常にゆっくりであり、焦りなどみじんもない。 「そして、そちらの女性は……感じからやとフルドラあたりかね?」  彼の言葉に、フルドラは息をのんだ。  それを感じ取り、梨杏は嗤った。  とんだ素人だ。  それが感想だった。
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