九頼 鬼は酒を所望する

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 なぜこんな娘を使ったのか、試しているのか、ただの気まぐれなのか……  どちらでもかまわないが、嫌な一手だと、梨杏は心の中で嘆息した。 「まぁ悪いんやけど、これも仕事でね。潰れてもらうで」  その言葉が起点となった。  梨杏から湧き出る妖気に呼応するかのように、スタロが雄叫びを上げながら拳を振り上げた。  正面にいた陽一もケイもすぐさま飛びのいた。  恐ろしいことが起きた。  スタロが振り下ろした拳は、当然のように石畳を粉砕した。  しかし、起こったのはそれだけではすまなかったのだ。拳が地面深くめり込んでいくのと同時に、地下から水が噴き出してきたのだ。  これには二人も驚き、たじろいでしまった。  が、これがまずかった。
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