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影……彼はそう呆れたようにいいながら、電灯の下に出た。
少し長めの髪をホウキのように一つに束ねている。やる気……というよりかは、どこか眠そうな容貌に気怠げな姿勢。
服装もコレと言って特徴は無く、あえて言うならば時代錯誤も甚だしい煙管を手にしている。さらにはその腰につり下がるように小さな陶器の酒瓶があった。
「おい、やめとけよ? ソイツは楽な女じゃねぇぞ」
彼の言葉などには耳を貸さず、じりじりと【かくえん】は女へとにじり寄っていく。
対して女は、息はすでに整っており、ひどくつまらなそうに【かくえん】を見ていた。
「洗いざらい吐きや」
冷たい声だった。
その容貌からはひどく逆のイメージを受けてしまった。
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