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「相手があんたじゃなきゃ、それもいいんかもしれんね」
彼は顔をしかめながら、めがねを人差し指で押し上げていく。
あまり相手にしたい女ではない。
が、無視するにはあまりにもある意味危険すぎる相手でもある。
「用向きはなんや?」
「せっかちですね。鬼の自覚が出てきたと言って、特徴である短気まで真似しないでいいのですよ?」
「やかましいわ」
彼は苛立ちを隠そうともせず、胸ポケットにねじ込んでいた煙草【わかば】を取り出した。
「あら、同居と同時に禁煙されたと聞いていましたが」
「……お前さん等が面倒こしらえなけりゃ、やめれるんやけどな」
かまわず【わかば】に火をつける。
「で?」
紫煙を吐き、剣呑な目つきで彼女をにらんだ。
「ある一派が行動を開始しました」
「へぇ」
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