壱拾頼 月野陽一は祈る

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 先ほどのことで頭が少しだけ冷えた。  軽率な行動がケイを傷つけた。  それは重々理解している。  だからこそ、今回の件を是が非でも収めければならない。  手持ちの札が一枚少ない。  式神などを使う京都の陰陽師とは違う。  ある意味で他力本願。  だが、意思を酌み交わし、互いの信頼がなければ出来る芸当ではない。  それが付喪神使い。  それを志としていた祓い屋一門はもはや存在しない。  八年も前に唐突に潰えてしまった。  彼が最後の生き残り。
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