壱頼 ルーチン

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「ケイ、やり過ぎんなよ」 「そう思うなら、ちゃっちゃとやりゃええ」  冷たい返答に、彼は嘆息した。 「そいつにゃ、聞かにゃならんことがたんまりあるんや。あんま無茶いうんやない」  予想よりも逃げ回られて疲れたのだろう鬱憤がたまりすぎているようだった。  血の気が多いのは家系的に仕方が無いのだろう。そのあたりはとっくのとうに諦めている。  そう、人生諦めが肝心だし、無理なものは無理なのだ。  人生なるようなものだ。 「さ、神にでも祈るこった。おっと、おたくの国では宗教は禁止やっけ?」  彼はうろ覚えなことをどうでも良さそうに適当に紡いだ。 「うぅ、おれ悪くなイ! この国、俺たちのらくえン……してイイって聞いてきた!」  不条理だと言わんばかりに、【かくえん】は叫んだ。
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