39人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちぃっ!」
「ぬぐ」
とはいえ、さすがに一筋縄ではいかない。【悪路王】は返す手を使い柄部分で梨杏の顔面を強打していた。
それくらいでびくともしない梨杏ではあるが、進路が微妙にずれてしまい結果として、攻撃を外してしまった。
「なるほど、単純だが貴様ならば効果的な戦法だな」
「単純なもんでえらいすませんなぁ」
殴られた頬をさすりながら、梨杏はゆっくりと【悪路王】の間合いを見た。
思った以上に広い間合いだ。攻撃を直撃されれば、どうなるかわかったものではない。
防御力に秀でる種族であるのは間違えないが、そんなことなどお構いなしにひっくり返すのは鬼である。
その昔、北関東地方で猛威を振るった悪鬼、それが【悪路王】だ。
どのような力を秘めているか、わかったものではない。
最初のコメントを投稿しよう!