壱拾頼 月野陽一は祈る

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「雑魚は雑魚らしく退場してもらう」  【悪路王】は素早い踏み込みから最上段で、剣を振り上げる。  確かにこれならば、梨杏の防御などお構いなしに真っ二つに切り捨てられるだろう。  だがそうはいかない。 「なに!?」  迫る速度と同じくらいの速度で梨杏の高さが下がっていく。  見た目の体制、そして大きさは変わらずにだ。  彼はさらに視線を下げた。  すると、梨杏の体が石畳に吸い込まれるように無くなっていっていた。 「逃がすか!」 「とろいで」  【悪路王】の切っ先は梨杏には届かず、石畳を盛大に砕いていった。
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