壱拾頼 月野陽一は祈る

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「く、卑怯な」 「ほう、悪鬼である君がその台詞を口にするんか」  声は【悪路王】の後方でしていた。 「面妖なヤツだ」 「君らとちゃうんよ。武闘派というわけじゃない。それに君に逢いたがってんは、僕よりも彼や」  ちりちりと殺気を感じていた。  そして、その明確な視線が突き刺さる。  月野陽一がそこにいた。 「人間の出る幕ではない。去ね」  切っ先を彼に向けながら【悪路王】はめんどうそうに言う。 「却下だ!」 「なら、首をはねるまで」  言うが早し、【悪路王】は滑るような動きで陽一の前に躍り出た。
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