壱拾頼 月野陽一は祈る

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「まぁいいでしょう。もうじき、酒呑童子まで来そうです。今日は帰りましょう。人間、名をなんと言います?」 「月野陽一。刻め、貴様を殺す者だ!」 「……月野。あぁ、そういうことですか。人間とは、つまらない生き物ですね。一族の敵というわけですね」  くつくつと陰鬱に【悪路王】は嗤った。  だが、それを梨杏がさらに嗤う。 「つまらないのは君たちやろ? 一度痛い目にあったんや、そこで諦めときゃええものを」  彼の言葉に、【悪路王】は目を細めサッと踵を返し、闇の中へと消えていった。
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