終頼 命あることを祈る

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「他人を責める前に、自分はどうやったんだ? 無鉄砲さはお前のほうがピカイチやろ」  そうゆっくりと店内に踏み入りながら現代の【酒呑童子】宮酒鬼市はぼやくように言った。 「き、鬼市様」  思わず【茨木】を隠そうと手を背に回すが、全て後の祭りである。 「いろいろあったが、月野のおかげで【悪路王】っつう悪鬼の存在もようやくわかったんや。それにケイちゃんは彼を許しとる」 「し、しかし、それではあたしの……」  なおも食い下がろうとした彼女を目を細めながら鬼市は見た。 「い ば ら?」 「は、はい」  通常、鬼市という男は温厚である。  だからこそ、戦闘以外で怒らせると恐い。  そして、よく主従関係がわかる構図でもあった。  そう言う意味では、いいものが見れたと言える。  鬼市は店主を呼ぶと、陽一をカウンターへと誘った。
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