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今現在も、何人かの被害者は行方がつかめていない。
それについては尋問するしかないだろう。
とはいえ、それは二人の仕事ではない。
どれだけ藻掻こうが、埋没する速度は変わらなかった。そうして男は消えていった。
残ったのはおかしな空と怪しい男女だけだった。
「さって、帰りますかね」
男はあくびを噛み締めながらそう言い、その場を後にしようとした。
「まぁ待ちなって、気が早いんやから」
そう甘い声が流れた。
呼応するように彼は立ち止まった。
「後の処理はそっちの管轄やろう? その捕まえ方なら、俺等の出る幕はないやん」
振り返りもせず、言うと嘆息する音が静かに響いた。
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