39人が本棚に入れています
本棚に追加
/150ページ
腹違いの姉がいると知ったのは、たった一人の肉親であった母が死ぬ間際だった。
物心ついた頃には母しかいなかった。
ほかの子にはお父さんがいるのに、なぜいないのだろう?
幼き頃はそう思い、何度も母を困らせることもあった。
女で一人で育ててくれた母には今でも感謝の念が絶えない。
だからこそ、私は人として生きていたいと思った。
こんないびつな存在ではあるけれど、誰からも認めてくれる存在ではないかもしれないけれど、人として生きたいと思えるようになった。
姉とは違う。
姉のような存在にはなりたいとも思わない。
何度も何度も、足を運んでもらったが分からなかった。
だからこそ、向こうからの申し出も基本的に断った。
最初のコメントを投稿しよう!