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そうして独りで生きていこうとした。
住む場所も、町中から山の麓へと移った。
そこは昔、先祖が住んでいた場所だと聞いた。
だから好きにしてくれていいと、姉から言われた。
何を目的として生きていけばいいのかもわからず、彼女はそこに住みだした。
静かな生活だった。
基本的には何者の干渉もない。
有り余る身体能力を駆使して、荒れた畑を耕し直し、生きていこうとした。
やり方は農家だった母のを見ていたから見よう見まねだった。
そうして、数年が経ったある日。
彼が現れた。
ぽっかりと胸に穴の空いた彼。
どこかその姿を自分と照らし合わせた。
そして、世界は彼女にも振り返っていった。
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