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そこは京都の中でも一二をを争うほどに五月蠅く光り輝いている場所だった。
祇園ではなく、若者たちが夜遅くまで騒ぎ飲み明かす木屋町界隈。
京都の名所である鴨川と、すぐ脇にある木屋町を貫く高瀬川は今日も静かに人々の流れを見守っていた。
そんな界隈の動きが少しおかしい。
いつもそこにいる者ならば、その空気が分かるだろう。
そうでなければ、分かるはずもない空気。
一昔前ならば、若者が大手を挙げながら騒いでいた場所も、観光客の波に居場所を少しずつ奪われていた。
そんな流れを無視し、かき分けながら幾つかの人々が足早に移動していた。
その先は暗い路地に入ったところにある雑居ビルの一階だった。
京都特有の間口の狭く縦に長い作りは、その奥にある空間をすっぽりと隠すように出来ていた。
「どないなってん」
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