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彼はゆっくりと椅子から立ち上がった。
「ほかならぬ、若からのお話なら、引き受けましょう……ただし、生憎と私が現在出張中なものでして、京都に残した二人に当たらせます。では……結果が分かり次第ご連絡しますので……」
彼はそう言うと携帯を切った。
一息ため息を漏らしたかと思うと、サングラスを優雅にとる。
そして、机の上に投げるように置いてあるスマートフォンを手に取ろうとしたときだった。
部屋のドアがノックされた。
「……はい」
彼の返事に反応したのか、外から突き抜けたような声が聞こえた。
「真壁さん! そろそろ本番入ります! すぐに戻ってください!」
「分かりました。すぐに行きます」
それを聞くと、声の気配は足早にいなくなっていった。
「やれやれ、全くどうして? こんなタイミングでやっかいなことだね」
そう言いながら彼はスマートフォンを操作し、それを耳に押し当てていった。
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