参頼 貧乏暇なし

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 いつもの古びた喫茶店。  見慣れた店内に、見慣れたバーテン、見慣れた常連客。  そして、いつもと変わらぬコーヒーの芳醇な香りをコクのある深い味わい。 「ふぅ」  思わずため息を漏らす。  今日も一日が始まるな……そう自覚出来るひとときだった。  そのコーヒーの横にあるのは、店自慢のクラブハウスサンドだった。  カリカリに焼いてあるベーコンとほどよく焼かれたパンや新鮮なトマトが絶妙なバランスで味わいを出していた。  喫茶【はなふじ】は、今日も最高なひとときをいただける大事な場所だった。  朝六時から夜は深夜二時までやっているという、個人店では珍しいほどに営業時間が長い。  そのおかげで、タクシー運転手や夜勤の者など、普通の喫茶店よりか、来る客層が多様だ。
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