39人が本棚に入れています
本棚に追加
/150ページ
コーヒーも一杯一杯、サイフォンで作られている。
「ん~、旨い」
彼、月野陽一は満足そうに頷き、コーヒーに口をつけた。
一通りサンドも平らげたところで、彼は腰に下げている巾着袋から長細い棒を取り出した。さらに取り出した小さな箱から一つまみ何かを取り出し、細い棒の先端に押し込んだ。
「相変わらず古風なやつだな」
気がつけば初老のバーテン、岩崎が横に立っていた。
「こいつが旨いからねぇ」
陽一はそう言いながら、煙管に火をつけた。
「今時、そんなのを使っているのはお前くらいなもんだね」
「ははっ、おおきに」
岩崎はそれを聞くと、クラブハウスサンドの皿を下げていった。
彼の後ろ姿を見送りながら陽一はゆっくりと紫煙を吐いていった。
最初のコメントを投稿しよう!