参頼 貧乏暇なし

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 コーヒーも一杯一杯、サイフォンで作られている。 「ん~、旨い」  彼、月野陽一(つきのよういち)は満足そうに頷き、コーヒーに口をつけた。  一通りサンドも平らげたところで、彼は腰に下げている巾着袋から長細い棒を取り出した。さらに取り出した小さな箱から一つまみ何かを取り出し、細い棒の先端に押し込んだ。 「相変わらず古風なやつだな」  気がつけば初老のバーテン、岩崎が横に立っていた。 「こいつが旨いからねぇ」  陽一はそう言いながら、煙管に火をつけた。 「今時、そんなのを使っているのはお前くらいなもんだね」 「ははっ、おおきに」  岩崎はそれを聞くと、クラブハウスサンドの皿を下げていった。  彼の後ろ姿を見送りながら陽一はゆっくりと紫煙を吐いていった。
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