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【はなふじ】を離れた二人はゆっくりと小さな川縁を歩いていた。
昼前のこの時間は、あまり人通りも少なく二人を気にする人もまた少なかった。
「そいで、今回のはどういう仕事なん?」
安い仕事はいやだなぁ、陽一はそう漏らしながらフラフラと歩いていた。
彼の手には丸い陶器の酒瓶が握られていた。
気がつけば、いつの間にか酒をあおりだしていたのだ。
もはやケイもあいた口が塞がらず、半場諦めていた。
「何が安くて、何を受けるかは私らが決めることじゃないでしょ」
言葉の端々、そして息をつくと同時にため息が漏れていた。
「でもよ、実働の半分は俺たちなんやで? もうちっと給料がほしいねんけどなぁ」
「金あっても、何に使うのさ」
「ん?」
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