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彼女の突っ込みに、陽一は視線を宙へと泳がせた。
「わかんね」
特に欲はない。
生きるのに必要なぶんはある。
食べるのに困っているわけでもない。
特別ほしいと思うモノもない。
何があるのかと聞かれれば、生きている、そう応えるくらいしか持ち合わせはなかった。
「ほいで、こっちに話が回ってくって事は面倒ごとなんやろ?」
「面倒……というか、正体すらまだ分かってないというのが正解」
「ん~、犠牲者はもういるっちゅうことかぁ」
陽一の口から、ため息が漏れる。
「今回の雇い主は?」
「さぁ、詳しいことは聞いてない」
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