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妖怪と敵対である陰陽師側もまた、数年前の事件で当主を失い、現在は代行として年老いた先代当主が率いている。幹部も幾人か亡くしている現状で、さらに抗争を生むのは得策ではなかった。
京都にはあと二つ大きな妖怪組織が存在する。京都北部を根城とする鞍馬天狗率いる鞍馬組、そして何処を拠点としているのかがつかめない神出鬼没である骸組である。
とはいえ、ここ一年ほどはある理由にて骸組はおとなしくしている。ここで、今更騒ぎを起こすというのはあまり考えにくいし、それをする理由も特には無い。鞍馬組とて、自分たちの領分を侵されない限り、出てくることは滅多にない。
あと考えられる可能性とすれば……
陽一の言葉に、鬼八は苛立たしそうに眉を寄せていた。
「ねぇ、私からのお願いでも言えないの?」
「ぬ……貴女からじゃっど……ひ、卑怯ばい!」
ケイの言葉におののきながらも、鬼八は口をわろうとはしなかった。
「なら、婆ちゃんは何か知ってます?」
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