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陽一から話しをふられ、食べ終わった器を下げようとしていた女主人は、細い細い目を少しだけ開いて見せた。
「そうさな。子供たちから少しは聞いてるよ」
「おぉ、さすが石頭の鬼八と違うねぇ」
どんな話か身を乗り出そうとした陽一の前に手が差し出された。
「なに?」
「ただじゃあ、教えられないねぇ」
ニヤリと笑いながら老婆は彼を見下ろしていた。
長年情報屋として生きる猫又妖怪は、九州の若い鬼よりも手強かったのは言うまでも無かった。
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