零頼 目覚め

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 しかし、陽一は母に抱きしめられてもなお、壁を見続けていた。  まるで魅入られたかのように……  そのときだった。  白い大きな布が突如視界を遮った。 「もうええ」  声がした。  しわがれた声……聞き覚えのある声。 「陽一、そんなもんは見んでええんや」  じいちゃんの声だった。  次の瞬間、陽一の体から力が抜け落ちていった。  しかし、それが全ての始まりだった。
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