四頼 背後にご注意

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 二人は木屋町を離れ、鴨川を渡り祇園の東にある八坂神社から南……清水神社へと通じる二年坂へと来ていた。  もう日も暮れているため人通りもほとんど無い。  街灯も通りにしてはあまり多くはないので、綺麗だが非常に閑散とし薄暗い印象を受けた。  灰色の石畳がぼんやりと光を鈍く反射していた。 「やぁ待っていた」  凜とした声が静かに響いた。  暗がりの奥からパンツスーツ姿の女性がゆっくりと出てくる。 「こちゃっす、鍋嶋(なべしま)さん」  陽一の軽い言葉にも動じず、彼女はゆっくりと頷いた。  つややかで長い黒髪に目鼻がくっきりとした顔立ちに、意志の強そうな切れ長の眉が今日は少し寄っている。 「こんばんわ」
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