四頼 背後にご注意

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「まだ何処の何奴なのか、皆目見当もつかへん状態なんでね」  そこで君たちの出番、と指差してきた。  彼女の様子を見て、陽一はケイを見やった。  ケイもまた少しだけ眉を寄せるようにして鍋嶋を見ていた。  どちらかと言えば、頭は切れるほうではあるが脳筋タイプで間違いが無い鍋嶋だ。腹芸は得意ではない。今回、捜索の依頼をしたのは華峰院家かと思っていたが違うのか、それとも幹部候補とはいえ、まだまだ位置づけ的には末端であることには変わりない彼女へは知らされていないのか……なんにしてもこの場は知らぬ存ぜぬで通した方が良さそうだ。そう、陽一は判断した。 「報酬はいかほどに?」 「ん? そうだね」  ケイの言葉に鍋嶋は右の人差し指で時分の頬をたたく。 「っと、その話あんたに決める権利あったけ?」  二重で契約となると面倒が起こると判断してか、陽一が二人の前に割って入った。
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