四頼 背後にご注意

12/14
前へ
/150ページ
次へ
「まぁ下調べくらいはするわ。とりあえず、上に話を通してくれっかね?」  その様子にケイは少し不満だったのか、くるりと背を向け外へと向かっていった。  鍋嶋は不思議そうに彼女の背を見送り、ゆっくりと陽一へ視線を投げた。 「さってね、ボスにでも連絡とりにいったんとちゃうか?」  頭を掻きながら、彼はキセルを取り出しおもむろに火をつけていく。 「ぷはっ……うんで、害者の身元は?」 「こんな状態で分かるわけないでしょ? そこは所轄に任せるわ」 「だと思ったよ」  苦笑いしながら陽一は紫煙を吐いていく。  世間一般として妖怪の存在が知らされているということはないが、そういったことを取り扱う人間は当然いる。華峰院家はあくまで民間の組織であり、国の役所とかではない。だからこそ、人の生き死になどは警察の動きがどうしても必要となってくる。当然、警察の全部ではないが、それ専門にするセクションはどの県にも存在するものだ。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加