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「まぁ下調べくらいはするわ。とりあえず、上に話を通してくれっかね?」
その様子にケイは少し不満だったのか、くるりと背を向け外へと向かっていった。
鍋嶋は不思議そうに彼女の背を見送り、ゆっくりと陽一へ視線を投げた。
「さってね、ボスにでも連絡とりにいったんとちゃうか?」
頭を掻きながら、彼はキセルを取り出しおもむろに火をつけていく。
「ぷはっ……うんで、害者の身元は?」
「こんな状態で分かるわけないでしょ? そこは所轄に任せるわ」
「だと思ったよ」
苦笑いしながら陽一は紫煙を吐いていく。
世間一般として妖怪の存在が知らされているということはないが、そういったことを取り扱う人間は当然いる。華峰院家はあくまで民間の組織であり、国の役所とかではない。だからこそ、人の生き死になどは警察の動きがどうしても必要となってくる。当然、警察の全部ではないが、それ専門にするセクションはどの県にも存在するものだ。
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