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とはいえ、妖怪の死体や妖怪同士の被害などは、妖怪内部でもみ消してしまう事が多い。その辺りを統制しようとしても無駄な話だ。
「ふむ、死後どんくらいかね」
「さぁ、2時間ってところやない?」
そんなに時間が経っているならば、狭い京都の中ならば何処へでもいけるだろう。
「埒があかんやん。しゃあねぇ……やるか」
彼はひとしきりため息を吐き、懐から真っ白な和紙を出した。
そしてそれを宙に投げる。
「そら、仕事やで【鷲峰】」
和紙は空中で散らばるように飛ぶと、そのままピタリと宙に止まった。そして、一人でに紙が折れ曲がっていくと思うとあっという間にいくつもの鶴が宙に舞っていた。
「此処に残る妖気の痕跡を追ってくれ。頼むで」
陽一の言葉に、紙鶴……【鷲峰】が四方八方に飛んでいった。
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