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最初は、気遣ってからこの内陸から遠く離れた山中まで来てくれた異母姉も最近は忙しくなってきているのか、顔を見せてくれなくなった。来るとすればその代理の部下ばかりだった。
その者たちが来るので、自分も見捨てられていない。忘れられていないと実感出来ていた。
姉が忙しいのは、なんとなく分かっていた。
こっちに来ていても、すぐに携帯が鳴っていた。
幹部の候補の一人だというのを知ったのは、彼女と出会ってから少し後のことだった。
一度だけ、彼女の上司?に当たる初老の男性がやってきたのだ。その人は、私の本当の父を知っていると言う。
顔も知らない父。
そんなことを言われてもまるで実感など沸くはずもなかった。
母からは、父は死んだとだけしか知らされていないし、決してあの人は語ろうとしなかった。
そして、そのまま突然に逝ってしまった。
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