六頼 異国の怪士

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 生き物の気配がしない世界だった。  見た目は変わらない世界。  だが、明らかに知らない世界。  ここの存在を教えてもらってから何年になるだろうか?  それでもどこかに拒絶感があるのは否めない。  そういうものだと割り切る。  人間が入るべき世界ではない。  それが結界の中。  妖怪が本来いるはずの似て非なる世界、異界だった。  人が集まりだした騒々しい木屋町で、犯人を見つけ追跡し出して三十分。  中心街である木屋町よりも北上し、下鴨神社の下にある賀茂大橋の袂にて彼女は止まった。
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