六頼 異国の怪士

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 まずは人間側に華峰院家がいる。日本の中にはいくつかの陰陽師組織はあるが、彼らは京都、いや関西最大級の実力を兼ね備えている。そして、華峰院家とずっと抗争状態にあった鬼の集団、鬼夜叉組。  彼らもまた、異分子を原則として認めない。  この両者の目を掻い潜って京都へ入り込んでいるとなると…… 「黒幕を吐いてもらおうかね?」  陽一はキセルをふかしながら、ゆっくりと一歩前に出る。  その隣にいるケイはすでに自らの獲物……小太刀を二本引き抜いていた。  陽一はともかくとして、彼女は端っから全開となりかねない。  視界に橋にいる彼女をやれやれと陽一も見るが、この状態でたしなめてもどうにもならない。  それどころか……  女の後ろ、橋の上から何かが二つ落ちてきた。  それはそれは大きな影だった。 「まぁ、そんなんはいるわなぁ」
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