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一瞬、背筋が震えた。
いや、全身が震えた。
彼から放たれた本物の殺気に本能が恐怖する。
太ももが生暖かい。が、そんなことすらも気にとめるほどの余裕はない。
「おっさん、なにやってんの?」
聞いたことのある声が林に木霊した。
ゆっくりと鬼童丸は声の主を見た。
「そうか、貴様か……半分とはいえ、鬼子をたぶらかすもんやないぞ。人間」
かすかな怒気をはらみ、修羅の鬼がゆっくりと彼、月野陽一と向き合った。
それはもう1年も前の話だった……
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