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異国の怪士は苛烈だった。
その巨体から繰り出されるパワーはもちろんのこと、その身のこなしが見かけ以上に素早い。
所詮、陽一はただの人間である。正面から攻められたらひとたまりもない。
「おっとっと、やべぇやべぇ」
紙一重でギリギリに避けていく。
武芸の心得があるので、歩法などを駆使して、若干たどたどしくはあるが、なんとか避けていた。
しかし、素早さは相手の方が上であり、リーチも人間の比ではない。何度か、その拳が頬や衣服をかすめていた。
「あ、やべ」
後退しながら、避け続けていれば足がもつれることもある。特に足の動きが、頭で描く理想とはかけ離れていればなおのこと……
黒い狼男の口角が上がる。
嗤っているのだろう。同時に荒々しい牙がむき出しとなる。
咆哮が響き渡る。
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