七頼 半分の枷

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 絶好の機会、バランスを崩している相手に避けるすべなどない。  陽一の顔面に、凶悪な拳がたたきつけられようとしていた。  そして、音  何かがひしゃげる音が静かに重々しく響いた。  悲鳴は上がらない。  それもそうだろう。  まともに当たれば人間の華奢な頭部では、骨折どころか吹き飛んでもおかしくないほどの威力だ。  彼が生き残れる可能性は……  う、うぎゃあああ!!!  情けない悲鳴が上がる。  痛みをこらえるかのように、右腕を左でつかみ、天へと掲げるかのようにして、それは崩れ落ちる。
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