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奇妙な空の下、それは走っていた。
緑とも紫ともとれるような薄暗く奇妙な空。
走っているのは若い男のように見受けられる。
薄暗い路地をモノともせずに走り抜ける。
普通、足下が見通しづらい視界でここまで見事に走り抜けるのは至難の業だ。
しかし、彼も追っ手もそのような障害などないかのように走り抜けていく。
追っ手の影は意外にも細身だった。
すらっとした細い足が地面を力強く蹴っていく。
その足音を聞きながらも男は逃げる、逃げる逃げる逃げる、脱兎のごとく逃げる。
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