七頼 半分の枷

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 反射的なのか、火だるまになりながら飛び退くが、すでに体中に火が付いている。  悲鳴すらも、炎のまえでは上がりもしない。  すぐそこにある鴨川の存在を思い出したのか、勢いよくそちらへ走ろうとするが……… 「出番や、酒ノ又三郎(さけのまたろう)」  不意に陽一の声が響く。  次の瞬間、ものすごい勢いで透明な液体が火だるまの狼男を襲う。  そして火の勢いは消えずに、爆発でも起こしたかのようにさらに燃え上がった。  予期しない不意打ちにタフが売りの狼男も膝をつき、そのまま声もなく倒れた。
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