八頼 北より来し者と石壁

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 美しかった。  想像を絶する何かを感じる。  例えそれが水晶の中に映る姿だとしても……  何かが自分の中で壊れる。  自然と頭を垂れた。 「では、協力して頂けるのですね」  流暢なノルウェー語……水晶を持つ男の見た目は完全に東洋人のそれだった。  もとより頷くより選択肢などなかった。  本心ではなかったはずなのに…… 「私達はあなたの力となります」  私の心はこの瞬間に奪われた。  とうの昔にこの地に未練などない。
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