プレミアムフライデー・ナイト

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追加の料理の中に大好きなエビマヨがあって、滝本さんの分と自分の分、お皿によそう。 お箸を取ってみたけど、結局そのまま置き直した。 置いたお箸のすぐとなり、さっき確認したばかりの携帯電話が目に入った。 途端に、気持ちはずしっと重くなり沈もうとする。 それに引きずり込まれそうになった時、「鈴木さん、それ何杯目?」掛けられたその声が、わたしを現実へと引き戻した。 「二杯目です。滝本さん、もう結構飲んでますよね? お酒強そう」 意識して作った弾ませた声で、滝本さんの質問に答えた。 携帯電話は、目に入らないように、壁と自分の間、ソファーに伏せて置いた。 「うん、結構飲めますよ。鈴木さん、飲めます? 何か弱そうですけど」 「そうですね。そんなに強くないかも」 「そうなんだ。酔ったらどうなるの?」 「んー、あんまり変わらないかな。ちょっとテンションあがって、楽しくなるくらい」 「へぇ、いい酔い方だね」 笑顔で言われたそれに、返事はせずにとりあえずへらっと笑い返しておく。
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