ハローハロー・サタデー

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フロアにさりげなく飾られている、大きなアート作品の横を、百瀬と二人でならんで歩いた。虎ノ門にそびえ立つこのシンボルタワーの上層階は、結婚式場やバーがある。華やかな服装をした人々とすれ違い、彼女たちの笑い声を遠く背中の方で聞いた。 「すみませんでした……」 エントランスを出てからようやく、百瀬がちいさな声でそう呟いた。 「山崎リーダーにも連絡したし、今日もう俺らがやれることはないから」 「そう、ですよね……」 「あとは家帰って、旨いもんでも食べて寝ろ」 俺の言葉を聞いて、百瀬はようやく顔を上げた。 「あれ、滝本さん約束あるって言ってましたよね」 「あ、大丈夫。遅れるって連絡したから」 「……すみません~」 また泣き顔になった百瀬を嘘で宥め、虎ノ門で解散することにした。「彼女さんによろしくお伝えください」と何度も念を押され、今更否定もできず「はいはい」と適当に頷いてから、反対方向の電車に乗り込んでいく百瀬を見送った。
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