ハローハロー・サタデー

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二週間前に向けられたのと変わらない、真っ直ぐな瞳だった。涙はどのくらいで乾いたんだろう。それとも今もまだ、例の元彼氏を想って泣く夜は続いているのだろうか。 膝に添えられていた彼女の手を取った。温度も二週間前と変わらずで、二月の空気よりずっと冷たい。合コンのときと違って、指先にネイルは施されていなかった。か細い彼女の指を握り、あんまり強くすると折れそう、なんてことを考えながら目を上げた。 俺のことを見下ろしていた彩葉と、視線が絡まる。「こないだの話の続きだけど」と切り出すと、彼女の指先の温度が、少しだけ上がったような気がした。 「俺、今日までずっと彩葉のことばっかり考えてて。こういうの、今までなかったから正直自分でも驚いてる」 自分の声が、どことなくぎこちない。緊張してんだなと、格好悪く思えて俯きそうになる。それをなんとか堪えて、彼女の目を真っ直ぐに見つめ返した。 「すぐには無理かもしれないけど、少しずつ好きになってくれたらいいなと思ってる。今百パーセント好きじゃなくても全然構わないから、俺と付き合って」
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