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流石は家族券。私たちは舞台袖のVIP席にて他のファンからもみくちゃにされることなく、舞花の晴れ舞台をみることができる。
「舞花ちゃんの前座にGAKUTOってグループが歌うらしいよ。」
「初めてきくグループね。」
「茜お姉ちゃんの秘蔵っ子らしいよ。」
二人にギロリとにらまれる。
「綾花はいいよね。」
「あのスーパーアイドル山口茜の知り合いなんだもんね。」
私は茜さんがデビューした年に生まれた。高校生でデビューした茜さん。お父さんのサッカー部のマネージャーであった茜さんとはドイツに行くまで、アイドルというより、近所のお姉ちゃんだった。トップアイドルになった今でも可愛がってくれるお姉ちゃんなのだ。
そんなやりとりをしているとGAKUTOの歌が始まった。
「あの人カッコいいよね?」
「うん。」
「おっ、あの綾花が男性を?」
「もう、私だってお年頃なのよ。」
初めて聞くGAKUTO。中央で歌うボーカリストに心を奪われる。不意に彼がこちらを見る。にこりと笑ってウインクした。
「ちょっとぉ。今ボーカルこっち見たよね?」
「綾花知り合い?」
「ううん、今日初めてみる人。」
「じゃあ綾花の美貌に惚れたか?」
「やめてよ。優菜ちゃん。」
嶋田家の子供は、両親の飛び抜けた才能を1つ受け継ぐ。
私はお母さんの美貌を受け継いだらしい。なんか恥ずかしいけど。世界10大美女に選ばれた嶋田あやめ。そんな、母親から受け継いだのだ。知らないところで、ミス○○に選ばれていた。
彼は私を見てくれたのかな?心がポカポカする。こんな感情初めて。
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