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本編
はぁ、私はあのライブから、あの人の顔が頭から離れない。心が痛い。またあの人に会いたい。
こんな私に大チャンスをくれた人がいた。妹である。
「お姉ちゃん、文化祭のイベント考えた?」
「難しいわね。予算の関係もあるし。」
「GAKUTO呼んだら?」
「えっ?」GAKUTOっていったらあの人の?
私はかぁーっと赤くなる。
「なに、お姉ちゃんまさか?」
「舞ちゃん、私どうかしちゃったのかな?あの人のことが忘れられないの。」
「私に任せて。費用は私が格安で交渉してあげる。お姉ちゃんは岳斗と打ち合わせするのよ。」
「ええっ、私が?男の人と?」
「お姉ちゃんは岳斗と仲良くなりたいんでしょ?だったらチャンスを生かさなきゃ。」
「わかったわ。私やってみる。彼のスケジュールを教えて。」
こうして、私は彼と打ち合わせをしていくのであった。
「…。」
「…。」
「あのさ、二人とも黙っていたらなんにも出来ないんだけどさ。」
ここは山口プロダクション。私は岳斗さんとの打ち合わせのため、茜さんの自宅に招かれた。
私と岳斗さん、舞ちゃんとお茶を出してくれた蓮司君(あまりの重い空気に耐えきれなくなった舞ちゃんが強引に引き留めた。)
「は、は、は、は、はじめましてぇー。」
「あの、あの、あのう…。」
「ダメだこりゃ。」
「舞ちゃんそんなことを言ったら…。」
二人でヒソヒソされるとまた困るん…。「じゃあ私たちはこれで」えっ?
舞ちゃんと蓮司君はこの場を去ってしまった。
どうしよう…。
「ふふふっ。」不意に彼が笑う。
「ごめんね。こんなときは俺がしっかりしないといけないのに。」
「いえ、私が…。」
「舞花にはいろいろ聞いているから。君がかまえることがないように頑張るから。」
私は前を見る。私をじっと見てくれる。この視線。安心する。うん、この人を信じてみよう。
私は第一歩を踏み出すのであった。
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