花七日

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「人の咲く花、売ります」  そう書いてある立て看板を見つけたのは、ある花屋の前だった。  世の中には何とも怪しげな物があるものだ、と通りすがりの彼は思った。  常ならばそのまま通り過ぎるのだが、彼はなんとなくその店を覗き込んでみた。  友達も恋人も趣味すら持っていない彼の唯一の持ち物、職場を今日失ってしまったからかもしれない。  今日、彼は居場所を失った。
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